ダイワスカーレット引退

近年一番好きだった馬が引退する事となった。ほぼパーフェクトなキャリアを積んだスカーレットだったが、キャリアの半分以上は、中盤緩いラップを刻めるから勝ち負けできているだけ、弱くはないが運がいいのも大きい、というような声も聞かれた、実力より評価されない馬だったと思う。しかし、3歳牝馬にして有馬を2着し、故障明けの大阪杯で牡馬を蹴散らし、ぶっつけの天皇賞秋で凄まじい時計を出して世紀の名勝負で勝ち負けしてから、そんな声は全く聞かれなくなった。祭り上げられた英雄ではなくて、実績を積み重ねていって周囲を黙らせた真の王者だったと思う。
牝馬なのにそういう男らしい所が大好きだった。

フェブラリーでもドバイでも勝ち負けすると思っていただけに引退は残念だ、ただ、それと同じくらい安心した気持ちがある。
アンカツは、この馬を評して、一度もバタっと止まった時が無いと言ったそうな。本当にそうだと思う。大阪杯天皇賞秋の直線は正直馬群に呑み込まれると思った。中京2歳Sアドマイヤオーラを完封した辺りからタダモノではないと認めていたしそこら辺の馬に負けるわけないと頭で思っていたが、競馬を始めて何年もたってるだけに、絶対は無い事も思い知らされていた。信じすぎて凹むのが嫌だったんだろうな、今思うと。ラストランとなった有馬でも直線半ばで、勝ったと思うまでは一抹の不安はあった。もうあんな気持ちを味わなくてもいいので安心しているというわけ。我ながら小さい人間だ。

最初の種付け相手は、チチカステナンゴという、全く知らない馬だった。
親になったこともないが、娘が素性の知らない男を連れてきた気分だ。

母親以上は望むべくもないが、母親の競争能力の片鱗でも受け継がれているような子供の誕生を望んでやまない。

ところで、アンカツに聞いてみたいことがある、天皇賞秋は最後まで追っていたのかどうか。俺みたいに勝手に諦めちゃったんじゃないかと思っているんだけど。